2022年7月2日に発生したauの通信障害、およそ2日半にわたって通話や通信が繋がらない、繋がりにくい状態となりました。決済サービスもQRコード決済は使えなくなりました。しかしこのモバイルSuicaは利用できた事はご存じでしょうか。今回はこのモバイルSuicaを解説していきます。
まず、Suica(ICカード)の歴史から
Suicaの先駆けとなるFelica(非接触型ICカード)の技術は1988年に当時SONYで勤務していた技術者の日下部進さんという方が、物流倉庫の商品の仕分けで使う無線ICタグを目的に開発が始まりました。その8年後、世界に先駆けて非接触型のICカードの導入を進めていた香港で実用化が始まりました。SuicaはJR東日本が発行するICカード乗車券なのでこの香港で採用された時はオクトパスカードと呼ばれました。このオクトパスカードを改良し2001年に日本でSuicaが導入されました。Suicaという名前はSuper-Urban-Intelligent-CArdの略で”スイスイ行けるICカード”の意味もあるそうです。その2006年にドコモとauでモバイルSuicaのサービスが始まりました。
Suicaの仕組み、電源は?
ICカードには通信をおこなうための電力が必要です。開発の初期では電池を内蔵していたそうですが、より持ち歩きしやすいように電池の代わりとなる電力の確保が必要でした。そこで注目したのが磁波です。ICカードにはICチップとそれを取り囲むようにアンテナコイルが回らされています。
改札機(リーダ/ライタ)などは微弱な磁界があり、その磁界の中でICカードをかざすとICカード内のアンテナコイルに電圧が誘起され、ICチップが動作します。
駅に入場する時を想定して説明していきましょう!
①Suicaを改札機にかざす
②スイカカード内ではアンテナコイルに電力が供給され、ICチップが作動します
③Suicaカードと駅構内のサーバー間で
存在確認ー認証ー読み出しー判定ー書き込みー書き込み確認を行います
④改札が開く
という流れです。この一連の作業を0,2秒ほどで行います。ちなみに切符では0,7秒ほどかかります。
モバイルSuicaは?
モバイルSuicaは携帯電話/スマホの電力を起電力として使います。専用のアプリケーションをダウンロードし利用をします。モバイルSuica以外でもモバイルFelicaのサービス(Apple PayやGoogle Pay、モバイルPASMOなど)はこの仕組みです。
モバイルSuicaがスマホの通信障害時でも利用ができるサービスは以下の通りです。
①購入済みの定期券、グリーン券の利用
②チャージ残高に利用
③現金によるチャージ残高への入金
④設定済みのオートチャージ
また端末の通信ができないと利用できない機能としては、クレジットカードでのチャージや定期券・グリーン券の新規購入、アプリへのログインを必要とするサービスです。
もし端末の電源がなくなったら?
電源OFFやバッテリーが完全に消費された状態では利用できません。なお、端末によっては予備バッテリーのついている機種もあるので、その予備バッテリーが残っている限りは使えます。iPhoneではiPhoneXSやXS Max、XR、11〜13シリーズで予備バッテリーがつきました。
駅入場後に電源が落ちた場合、入場の記録は残りますので何かしらの方法で充電できれば駅からの退場だけで大丈夫です。
モバイルSuicaにとっては通信障害よりも電源を失うことの方が大きいです。
最後に
先ほども説明した通りですが、モバイルSuicaが通信を必要とするのは、モバイルSuicaアプリへのログインや登録したクレジットカードの利用の場合です。エクスプレスカードとして残高の利用では決済に通信を必要としません。今回のようにキャリアの通信障害でも利用できるのはこの為ですね。なので残高が足りない時は自宅などのWiFi環境で残高チャージをしておけば買い物や交通には支障ありません。
なお、モバイルSuicaアプリは複数端末での共有はできないので。複数端末でモバイルSuicaを使う場合はそれぞれでモバイルSuicaのIDやパスワードの設定が必要となります。
auの通信障害の問題では1つのキャリアではなくドコモ回線など、2キャリアの契約をして日頃から備えるといったことをよく聞きました。対策を考えた場合、ユーザー側ができる対策はそれくらいしかできません。しかし、そもそも普段はつかない回線を契約することは何か違うと思います。災害時に開放される00000japan(ファイブ オー ジャパン)という公衆無線LAN(WiFi)サービスのより柔軟な対応やau回線に障害が出たら、一時的に他キャリアに切り替えられるようなキャリア間の補完が必要だと思いました。
今回は以上です。ありがとうございました!
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